高齢者への声かけも介護の重要なポイント

初めて介護の仕事に就くスタッフは、やる気さえあれば大抵の場合上手くいくものですが、介護の基本に関して事前に知っておくとさらに役に立つ情報があります。何よりも、高齢者などの介護サービス利用者との接し方が、最も大切なポイントとなるでしょう。高齢者の多くは耳が遠く、声のかけ方にコツが必要です。高価な補聴器を装着している高齢者もいますが、人間の耳と異なり、補聴器は周囲の雑音も拾ってしまうので、補聴器を付けているとかえって聴き取りにくいと言って外してしまう高齢者も少なくありません。

中途半端な声かけは高齢者に理解されないため、相手から無視されたりストレスを生じる原因になったりします。高齢者に声かけする場面でなくても、スタッフ同士が耳の遠い高齢者の前で談笑すると、会話を聴き取れない高齢者にとってはストレスになることもあるのです。耳が遠いということは、単に会話しにくく不便なだけでなく、高齢者に孤立感を与える面があることを忘れないようにしましょう。高齢者に声かけする際には、正面で対面し、目を合わせてはっきりとした口調で述べることが大切です。

また、身体介護など、高齢者の身体に触れる際にも、きめ細かい気遣いが欠かせません。介護を施すのが当たり前だからといって、何も言わずいきなり高齢者の身体に触れることは避けましょう。丁寧に声かけして、高齢者が心の準備をする余裕を与えることが重要なのです。こうした心遣いを重ねるうちに個々の高齢者と信頼関係が育まれ、声かけのタイミングや、触れても嫌がられない身体の部位などが明確にわかってくるでしょう。